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熊襲
熊襲
登場人物=日本武尊(やまとたけるのみこと)〔日本童男〕(やまとおぐな)・熊襲梟帥(くまそたける)・長吉
熊襲(くまそ)とは、日本の記紀神話に登場する一族名。南九州に本拠地を構え、大和王権に抵抗した一族名で、地域名を意味するとされる。景行天皇の息子、日本武尊の熊襲討伐の物語である。
日本童男(やまとおぐな)=小碓命(おうすのみこと)が16歳のとき、父景行天皇は九州の熊襲を平定するように命じた。
小碓命は少女のように髪を結い、叔母(倭比売)からもらった小袖を着て熊襲建の祝いの宴に紛れ込み、酒を飲んで上機嫌になっている熊襲建を持っていた短刀で一気に斬りかかった。熊襲建は自分より強い者は西方にはいないが倭にはいたんだと知り、自分の「建」の名をもらってほしいと願う。そして、小碓命を倭建命(やまとたけるのみこと)と称えることにすると言って息をひきとった。小碓命はこれより倭建命(ヤマトタケル)と名乗ることにした。(「建」は勇敢な者という意味を持つ)

●日本書紀巻七第第四話 日本武尊(要約)
大足彦忍代別(おおたらしひこおしろわけ)天皇〔景行天皇〕は、息子の日本武尊(やまとたけるのみこと)を遣わして、熊襲(くまそ)を討伐することにした。日本武尊はこのとき16歳だった。
日本武尊は熊襲国に到着し地形や人の暮らしを見た。そのとき熊襲に魁帥(たける)という者がいた。名は取石鹿文(とろしかや)、またの名を川上梟帥(かわかみのたける)といい、一族を残らず集めて新築の祝いをしようとしていた。
日本武尊は童女のように髪を垂らして、剣を衣の中に隠して梟帥の宴会のときをうかがい酒宴が始まると、女達の中にまじった。梟帥は日本武尊の童女の容姿を誉めて、手をとって同席させ酒をつがせ、戯れ遊んだ。夜も更けた頃、梟帥もまた酒の酔いがまわっていた。そこで日本武尊は衣の中の剣を取り出して梟帥の胸に突き刺した。死ぬ前に梟帥は言った。
「しばらくお待ち下さい。申し上げたい事があります。」日本武尊は剣を留めて待った。「あなたは、どなたでいらっしゃいますか。」と問うと日本武尊は「私は大足彦忍代別天皇〔景行天皇〕の皇子で、名を日本童男(やまとおぐな)という。」と答えた。
川上梟帥は、「私はこの国きっての強者で、世の者は私の威力を恐れ、従わぬ者はありませんでした。私は多くの武人に会いましたが、皇子のような人ははじめてです。その武勇を讃えそこで、卑しい者の口からですが尊号を差し上げたい。これ以後は皇子を日本武皇子と申し上げたい。」そう言い残すと川上梟帥はそっと目を閉じた。それを見て日本武尊は胸を刺して殺した。今に至るまで、日本武尊と誉めて言うのはこのいわれによるものである。

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