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大蛇
大蛇
登場人物=須佐之男(すさのお)・神二・足名椎(あしなづち)・手名椎(てなづち)・奇稲田姫(くしいなだひめ)・大蛇2~4頭(場所によっては8頭)
大蛇は石見神楽の代名詞とも言うべき神楽でそのスケールの大きさは他の神楽の比ではない。ちょうちん蛇胴の考案により、石見神楽に一大改革を起こした。大蛇の舞手は身体を胴の中に隠し身体を見せずに舞わなければならない。
 
悪業のため高天原を追われた須佐之男命が出雲の国・斐川にさしかかると、老夫婦が嘆き悲しんでいた。訳を尋ねると、夫婦には八人の娘がいたが、大蛇が毎年あらわれて、七年に七人の娘をとられ、最後の一人も取られる運命にあるという。命は、大蛇退治を約束し、毒酒を作らせ、これを大蛇が飲んで酔った所を退治した。この時、大蛇の尾から出た剣は、天の村雲の剣(のちの草薙の剣)として天照皇大神に献上され、三種の神器の一つとして熱田神宮に祀られている。須佐之男命は助けた娘、奇稲田姫と結婚した。

●日本書紀=巻一第七話 八岐大蛇(要約)
高天原(たかまがはら)を追放された素戔鳴尊(すさのおのみこと)〔須佐之男命〕は、出雲の国の簸の川(ひのかわ)の辺に来た。その時、川のそばですすり泣く声が聞こえるので声のする方に行ってみると翁(おきな)と媼(おうな)が真ん中に一人の少女を抱いて泣いていた。「お前達、何をそんなに悲しんでいるのだ?」と素戔鳴尊が問うと、翁は 「私はこの地に住む脚摩乳(あしなづち)という者です。これは、妻の手摩乳(てなづち)、そしてこの童女は、私どもの娘で奇稲田姫(くしいなだひめ)といいます、私たち夫婦には八人の娘がいましたが毎年、八岐大蛇(やまたのおろち)という怪物がやってきて娘達を次々に呑んでしまいました。今年もその八岐大蛇がやってくる頃になりました。私達にはどうしようもありません。それで悲しんでいるのです。」と翁と媼は答えた。哀れに思った素戔鳴尊は、二人に「私が八岐大蛇を退治してやろう。ただし条件がある、その娘を私の嫁に呉れんか。」と言った。 翁は「八岐大蛇を退治して下さるなら、よろこんで奇稲田姫をさしあげます。」というと、素戔鳴尊は続けて言った。「では、強い酒を用意してくれ。」素戔鳴尊は棚を八面に区切り、それぞれに翁達に用意させた酒の入った樽を置いて大蛇を待った。奇稲田姫は見つからないように爪櫛(つまぐし)に変えて自らの髪に挿した。
しばらく待っていると、八岐大蛇が現れた。頭と尾が八つあって、眼は酸漿(ほおずき)の様に真っ赤にで、背中には松や柏が生えていて、八つの山八つの谷に広がっていた。八岐大蛇は、酒を見つけると八つの樽にそれぞれの頭を入れて飲んだ。大蛇は酒を飲みほすと酔って眠ってしまった。この時を待っていた素戔鳴尊は、腰に下げていた十握の剣(とつかのつるぎ)で八岐大蛇を切り刻んだ。その際、尾を斬るときに剣の先が少し欠けた。そこでその尾を割いてみると、中から一つの剣が出て来た。これが天の村雲の剣、後に草薙の剣(くさなぎのつるぎ)といわれる物である。
素戔鳴尊は「なんとすばらしい剣だ。これは私のような者が持つ物ではない。」と、その剣を、天つ神(あまつかみ)に献上した。
その後、素戔鳴尊は奇稲田姫と結婚するのに良い土地をさがして、出雲の須賀(すが)に来たときに言った。「この土地はなんとすばらしい地だ。私の心がこんなに清々(すがすが)しい」と、この地で結婚することに決め、そこに宮を建て、素戔鳴尊と奇稲田姫は夫婦の交わりをした。身籠もった奇稲田姫は大己貴神(おおあなむちのかみ)〔大国主〕を産んだ。

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