石見神楽(いわみかぐら)−島根県浜田市 石見之國伝統芸能−石見神楽公式サイト−

八衢

能 舞

八 衢 / 天孫降臨(やちまた/てんそんこうりん)

登場人物
天宇津女命(あめのうづめのみこと)、猿田彦神(さるたひこのかみ)
あらすじ
大国主命の国譲りに続く物語です。天孫降臨の神話を神楽化したもので、八衢とは天上での天降りの途中で、道が多方面に分かれた所を指しています。天孫邇々芸命(てんそんににぎのみこと)が天降りされようとするとき、道をふさぐ神があったので、天宇津女命に問わせると猿田彦神(さるたひこのかみ)で、天孫を先導するために出迎えに来たと言いました。
見どころ見どころ
鼻の長い「天狗」が登場する神楽だよ。宇津女命は天の神様が地上に降りる時に引率した女神で、岩戸開きでも活躍したお姫様。女性らしい麗しい舞と、男性らしい力強い舞が楽しめちゃう!

口 上
宇津女「自らは天照大御神に仕へまつる天の宇津女の命なり。今度皇御孫ににぎの命天の下の大君と定まりまして、既に天降りまさんとしたまふに、天の八衢に怪しき神あり。この神の鼻の長さ七あた、背の長さ七さかあり。眼は八咫の鏡の如く、上は高天が原より下は葦原の中つ国まで輝く神ありと、御先拂ひの神返り言申し奉る。故これによつて、汝は手弱女なれど、い向ふ神と面勝つ神なり。いかなる神か尋ね歸れよとの詔を受け、只今かの地に赴かばやと存じ候。」
猿田彦(内より)「八雲立つ出雲の国加賀の神崎に、蚶貝姫の命の御子と生れ出でし、佐太の大神といへる神なり。今度皇御孫ににぎの命、天の下の大君に定まりまして天降りますと聞きつるによりて、天の八衢に出で迎へ、導き奉らんと思ふなり。」
猿田彦「久方の天の八重雲おし分けて下りし神をあれは待つなり
宇津女「やあやあ、天の八衢に怪しき姿をなして、立ち塞ぎたまふ神は、いかなり神におはしたまふや。はやはや御名を名のらせ給へよ。」
猿田彦「我は出雲の国加賀の神崎に、蚶貝姫の命の御子と生れ出でし、佐太の大神といへる神なり。又の名は佐太彦とも申し、又の名は大土御親の神とも申す神なり。かく咎めたまふ神は、いかなる神におはしたまふや、又いかなる故によつて尋ねたまふや、はやはや答へ候へ。」
宇津女「自らは天照大御神に仕へまつる天の宇津女の命なり。こたび皇御孫ににぎの命、天の下の大君と定まりまして、天降りまさんとしたまふに、、天の八衢に怪しき姿をなして立ち塞ぎたまふが故に、その故を尋ね歸れよとの詔を受け、参い向ひて候ほどに、いざその故を語りたまへよ。」
猿田彦「我この八衢に出で居る故は、今度皇御孫ににぎの命、天の下の大君に定まりまして、天降りますと聞きつるによりて、この處に出で迎へ、導き奉らんと思ふなり。」
宇津女「さあらば皇御孫ににぎの命は、いづこに降りたまふべけんや。又汝命はいづこに鎮まりたまふぞや。」
猿田彦「今度皇御孫ににぎの命は、筑紫の日向の高千穂の櫛触の岳に天降りますべし。あは伊勢の狭長田五十鈴の川の川上に鎮まりて、陸路に迷ふ人を導き、又海ゆく舟を守るべし。すべて世の人の正しき限りは、願ひのまにまに道饗へ申さん。」
宇津女「げに皇御孫ににぎの命の道しるべたまはんと参い出たまはば、この廣矛を捧げ申さん。この御矛を以て、天降りまさん道に千早ふる荒ぶるものあらば拂ひまして、安らかに高千穂の峯に導きたまふべく候。」
猿田彦「畏まつて候。」
「あら嬉しあら喜ばしこれぞこの御先拂はん御矛なるかも」





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